法線ベクトルと正射影ベクトルの解説
法線ベクトル
法線ベクトルとは、ある曲面や平面に垂直なベクトルのことです。法線ベクトルは、その対象が持つ対応する点での方向を示します。
具体例
例1: 平面 \(ax + by + cz = d\) の法線ベクトルは \((a, b, c)\) です。このベクトルは平面に垂直な向きを持ちます。
例えば、 平面 \(2x + 3y - z = 5\) の法線ベクトルは \((2, 3, -1)\) です。
正射影ベクトル
正射影ベクトルとは、あるベクトルを他のベクトルに対して正射影した結果得られるベクトルです。ベクトル \(\vec{a}\) をベクトル \(\vec{b}\) に正射影した結果は次のように計算されます:
\(\mathrm{proj}_{\vec{b}} \vec{a} = \frac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{\vec{b} \cdot \vec{b}} \vec{b}\)
具体例
例2: ベクトル \(\vec{a} = (3, 4)\) をベクトル \(\vec{b} = (1, 2)\) に正射影します:
- 内積:\(\vec{a} \cdot \vec{b} = 3 \cdot 1 + 4 \cdot 2 = 3 + 8 = 11\)
- ベクトル \(\vec{b}\) の内積:\(\vec{b} \cdot \vec{b} = 1^2 + 2^2 = 1 + 4 = 5\)
- 正射影ベクトル:\(\mathrm{proj}_{\vec{b}} \vec{a} = \frac{11}{5} \vec{b} = \frac{11}{5} (1, 2) = \left(\frac{11}{5}, \frac{22}{5}\right)\)
意義
法線ベクトルは、工学やコンピュータグラフィックスの分野で、平面や曲面に対する接触や衝突の解析に使用されます。正射影ベクトルは、ベクトル解析やデータ分析の分野で、特定の方向へのベクトルの成分を計算する際に使用されます。
練習問題
次の問題を解いて、法線ベクトルや正射影ベクトルについて確認しましょう:
- 平面 \(3x - y + 2z = 6\) の法線ベクトルを求めなさい。
- ベクトル \(\vec{a} = (4, 2)\) をベクトル \(\vec{b} = (1, 1)\) に正射影した結果を求めなさい。
- 平面 \(x + 2y + 2z = 4\) とベクトル \(\vec{b} = (1, 2, 2)\) の法線ベクトルが一致するか確認しなさい。
解答を表示/非表示
- 平面 \(3x - y + 2z = 6\) の法線ベクトル
- 法線ベクトルは平面の係数から得られます。したがって、法線ベクトルは \((3, -1, 2)\) です。
- ベクトル \(\vec{a} = (4, 2)\) をベクトル \(\vec{b} = (1, 1)\) に正射影
- 内積:\(\vec{a} \cdot \vec{b} = 4 \cdot 1 + 2 \cdot 1 = 4 + 2 = 6\)
- ベクトル \(\vec{b}\) の内積:\(\vec{b} \cdot \vec{b} = 1^2 + 1^2 = 1 + 1 = 2\)
- 正射影ベクトル:\(\mathrm{proj}_{\vec{b}} \vec{a} = \frac{6}{2} \vec{b} = 3 \vec{b} = 3 (1, 1) = (3, 3)\)
- 平面 \(x + 2y + 2z = 4\) とベクトル \(\vec{b} = (1, 2, 2)\) の法線ベクトルが一致するか確認
- 法線ベクトルは平面の係数から得られます。この場合、法線ベクトルは \((1, 2, 2)\) です。
- ベクトル \(\vec{b}\) と一致します。このため、平面の法線ベクトルとベクトル \(\vec{b}\) は一致します。