ベクトルの内積と2つのベクトルのなす角の解説

ベクトルの内積

ベクトルの内積(スカラー積)とは、2つのベクトルの成分を乗算し、その和をとったものです。内積は次のように表されます:

\(\vec{a} \cdot \vec{b} = a_1b_1 + a_2b_2\)

ここで、\(\vec{a} = (a_1, a_2)\) と \(\vec{b} = (b_1, b_2)\) です。

具体例

例1: ベクトル \(\vec{a} = (2, 3)\) と \(\vec{b} = (-1, 4)\) の内積は:

2つのベクトルのなす角

ベクトルのなす角 \(\theta\) は、次の式を用いて計算します:

\(\cos \theta = \frac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}| |\vec{b}|}\)

ここで、\(\vec{a} \cdot \vec{b}\) はベクトルの内積、\(|\vec{a}|\) と \(|\vec{b}|\) はそれぞれのベクトルの大きさです。

具体例

例2: ベクトル \(\vec{a} = (1, 2)\) と \(\vec{b} = (2, 3)\) のなす角を求めます:

意義

ベクトルの内積は、2つのベクトル間の関係性を理解するために重要な概念です。例えば、内積が0の場合、2つのベクトルは直交(垂直)しています。

ベクトルのなす角は、ベクトル間の方向の違いを定量的に評価する方法であり、物理やエンジニアリングの多くの分野で重要な役割を果たします。

練習問題

次の問題を解いて、ベクトルの内積やなす角について確認しましょう:

  1. \(\vec{a} = (3, -1)\) と \(\vec{b} = (2, 2)\) の内積を求めなさい。
  2. \(\vec{a} = (1, 1)\) と \(\vec{b} = (-1, 1)\) のなす角を求めなさい。
  3. \(\vec{a} = (0, 2)\) と \(\vec{b} = (2, 0)\) は直交しているか確認しなさい。
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  1. \(\vec{a} = (3, -1)\) と \(\vec{b} = (2, 2)\) の内積
    • \(\vec{a} \cdot \vec{b} = 3 \cdot 2 + (-1) \cdot 2 = 6 - 2 = 4\)
  2. \(\vec{a} = (1, 1)\) と \(\vec{b} = (-1, 1)\) のなす角
    • 内積:\(\vec{a} \cdot \vec{b} = 1 \cdot (-1) + 1 \cdot 1 = -1 + 1 = 0\)
    • ベクトルの大きさ: \(|\vec{a}| = \sqrt{1^2 + 1^2} = \sqrt{2}\)
    • \(|\vec{b}| = \sqrt{(-1)^2 + 1^2} = \sqrt{2}\)
    • \(\cos \theta = \frac{0}{\sqrt{2} \cdot \sqrt{2}} = 0\)
    • したがって、なす角 \(\theta\) は \(\cos^{-1}(0) = \frac{\pi}{2}\)(90度)です。
  3. \(\vec{a} = (0, 2)\) と \(\vec{b} = (2, 0)\) が直交しているか確認
    • 内積:\(\vec{a} \cdot \vec{b} = 0 \cdot 2 + 2 \cdot 0 = 0\)
    • 内積が0なので、これらのベクトルは直交しています。