余事象(よじしょう、complementary event)とは、ある事象が起こらない場合を表す事象のことです。例えば、サイコロを振った場合、目が「4でない」という事象は、「目が1, 2, 3, 5, 6いずれかである」事象で表されます。
ある事象 \(A\) の余事象を \(\bar{A}\) と表します。事象 \(A\) とその余事象 \(\bar{A}\) の確率の和は 1 になります:
\[ P(A) + P(\bar{A}) = 1 \]
1つのサイコロを振って「目が4でない」確率を求めます。
サイコロの目が4である確率は \(\frac{1}{6}\) です。このため、目が4でない確率は:
\[ P(\bar{A}) = 1 - P(A) = 1 - \frac{1}{6} = \frac{5}{6} \]
確率の和の法則(わのほうそく、Addition Law of Probability)とは、互いに排他的(重ならない)な二つの事象 \(A\) および \(B\) が存在する場合、それらの事象の少なくとも一方が起こる確率は次のように求められます:
\[ P(A \cup B) = P(A) + P(B) \]
ただし、\(A\) と \(B\) が互いに排他的でない場合、重複する確率を引く必要があります:
\[ P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B) \]
サイコロを1回振って、目が2または3である確率を求めます。
目が2である確率は \(\frac{1}{6}\)、目が3である確率も \(\frac{1}{6}\) です。これらの事象は互いに排他的なので、確率の和は次のように計算されます:
\[ P(2 \cup 3) = P(2) + P(3) = \frac{1}{6} + \frac{1}{6} = \frac{2}{6} = \frac{1}{3} \]
確率の積の法則(せきのほうそく、Multiplication Law of Probability)とは、二つの事象 \(A\) および \(B\) が互いに独立している場合、それらの両方が同時に起こる確率は次のように求められます:
\[ P(A \cap B) = P(A) \times P(B) \]
コインを2回投げたとき、1回目と2回目の両方で「表」が出る確率を求めます。
1回目に「表」が出る確率は \(\frac{1}{2}\)、2回目に「表」が出る確率も \(\frac{1}{2}\) です。これらの事象は互いに独立しているので、確率の積は次のように計算されます:
\[ P(\text{表} \cap \text{表}) = P(\text{1回目に表}) \times P(\text{2回目に表}) = \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4} \]
次の確率を求めてください:
目が1である確率は \(\frac{1}{6}\)、目が2である確率も \(\frac{1}{6}\) です。これらは互いに排他的なので、
\[ P(1 \cup 2) = P(1) + P(2) = \frac{1}{6} + \frac{1}{6} = \frac{2}{6} = \frac{1}{3} \]
トランプにはスペードが13枚、ダイヤが13枚あります。これらは互いに排他的なので、
\[ P(\text{スペード} \cup \text{ダイヤ}) = P(\text{スペード}) + P(\text{ダイヤ}) = \frac{13}{52} + \frac{13}{52} = \frac{26}{52} = \frac{1}{2} \]
1枚目が表である確率は \(\frac{1}{2}\)、2枚目が裏である確率も \(\frac{1}{2}\) です。これらは互いに独立しているので、
\[ P(\text{表} \cap \text{裏}) = P(\text{1枚目に表}) \times P(\text{2枚目に裏}) = \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4} \]