フェルマーの小定理の解説
フェルマーの小定理は数論の基本的な定理の一つで、素数の性質を利用して計算を簡単にするための重要な結果です。
フェルマーの小定理
フェルマーの小定理は次のように表されます:
\(p\) を素数とし、\(a\) を \(p\) で割り切れない整数とすると、次の式が成り立ちます:
\[a^{p-1} \equiv 1 \pmod{p}\]
さらに、一般形として:
\[a^p \equiv a \pmod{p}\]
具体例
例1: \(a = 2\)、\(p = 7\) の場合、\(2^{7-1} = 64\) を計算します:
- \[2^6 = 64\]
- 64 を 7 で割ると、64 は 7 × 9 = 63 の1つ余りです:
- \[64 \equiv 1 \pmod{7}\]
例2: \(a = 3\)、\(p = 11\) の場合、\(3^{11-1} = 3^{10}\) を計算します:
- \[3^{10} = 59049\]
- 59049 を 11 で割ると、59049 は 11 × 5368 + 1 です:
- \[59049 \equiv 1 \pmod{11}\]
フェルマーの小定理の応用
フェルマーの小定理は、特にモジュラー逆数を計算するときに役立ちます。
モジュラー逆数とは、ある数 \(a\) に対して、\(a \cdot b \equiv 1 \pmod{m}\) を満たす \(b\) のことです。
具体例
例: 7 の 13 におけるモジュラー逆数を求める:
- フェルマーの小定理によれば、\((a^{p-1} \equiv 1 \pmod{p})\) です:
- したがって、\(7^{12} \equiv 1 \pmod{13}\)
- 7 の逆数 \((b)\) は、\((7^{12-1} \equiv b \pmod{13})\) です:
- \[7^{11} \equiv b \pmod{13}\]
- 計算すると、\((7^{11} \mod 13) = b\) です。
練習問題
次の問題を解いて、フェルマーの小定理の理解を深めましょう:
- \(a = 4\)、\(p = 13\) に対して、\(4^{13-1} \mod 13\) を計算しなさい。
- \(a = 5\)、\(p = 17\) に対して、\(5^{16} \mod 17\) を計算しなさい。
- \(a = 9\)、\(p = 19\) に対して、\(9^{18} \equiv 1 \pmod{19}\) であることを確認しなさい。
解答を表示/非表示
- \(a = 4\)、\(p = 13\) に対して、\(4^{13-1} \mod 13\) を計算する
- \(4^{12} = 16777216\)
- 16777216 を 13 で割る:
- \[16777216 \div 13 = 1290555\] 余り \[1\]
- したがって、\(4^{12} \equiv 1 \pmod{13}\)
- \(a = 5\)、\(p = 17\) に対して、\(5^{16} \mod 17\) を計算する
- \(5^{16} = 152587890625\)
- 152587890625 を 17 で割る:
- \[152587890625 \div 17 = 8975758254\] 余り \[1\]
- したがって、\(5^{16} \equiv 1 \pmod{17}\)
- \(a = 9\)、\(p = 19\) に対して、\(9^{18} \equiv 1 \pmod{19}\) であることを確認する
- \(9^{18} = 150094635296999121\)
- 150094635296999121 を 19 で割る:
- \[150094635296999121 \div 19 = 7902928120899953\] 余り \[1\]
- したがって、\(9^{18} \equiv 1 \pmod{19}\)