実数の基本性質

1. 有界性

ある集合が有界であるとは、その集合のすべての要素がある上限または下限によって制限されていることを意味します。具体的には、実数の部分集合 \( S \) が有界であるとは、次のような実数 \( M \) が存在することです:

具体例

集合 \( S = \{ x \in \mathbb{R} \mid 0 \leq x \leq 5 \} \) は上に有界であり、上限は \( M = 5 \) です。また、下に有界であり、下限は \( m = 0 \) です。

しかし、集合 \( T = \{ x \in \mathbb{R} \mid x > 0 \} \) は上に有界ではありませんが、下に有界であり、下限は任意の正の数より小さい \( 0 \) です。

2. 連続性

関数 \( f(x) \) がある点 \( a \) で連続であるとは、次の条件がすべて満たされることを意味します:

具体例

関数 \( f(x) = x^2 \) はすべての実数 \( x \) で連続です。特に、点 \( a = 2 \) で:

\( \lim_{x \to 2} f(x) = \lim_{x \to 2} x^2 = 4 = f(2) \)

逆に、次の関数を考えてみましょう:

\( g(x) = \begin{cases} x^2 & \text{if } x \neq 0, \\ 1 & \text{if } x = 0. \end{cases} \)

この関数は \( x = 0 \) で連続ではありません。なぜなら、

\( \lim_{x \to 0} g(x) = 0 \neq g(0) = 1 \)

だからです。

3. 実数の完備性

実数の重要な性質の一つは、完備性です。これは、上に有界な実数の部分集合が必ず上限を持つことを意味します。この性質は「実数の完備性定理」として知られています。

具体例

集合 \( S = \{ x \in \mathbb{R} \mid x < 2 \} \) を考えると、この集合は上に有界ですが、上限は \( 2 \) です。このように、完備性により上限が必ず存在することが保証されます。

まとめ

有界性、連続性、完備性は実数の基本性質であり、これらは解析学や数学の基礎を形成する重要な概念です。